(旅日記) 東京駅9番・10番ホーム 22時55分 

銀座で飲んで、酔い覚ましがてら東京駅まで歩く。銀座通りは不景気をあまり感じさせない。駅に着いた。最近完成した巨大なビルが、この日本一のターミナルを見下ろしている。八重洲中央口から東京駅に入ると、JR東海の京都の広告が目に入ってくる。この八重洲口の地下通路に新しくできた「グランスタ」は、既に全ての店がシャッターを下ろしていた。まるで駅が眠りにつこうとしているかのようだった。私の乗る東海道線の電車は7番ホームから出発するのだが、ちょっと9番・10番ホームに立ち寄ってみた。

私は午後10時を過ぎた東京駅9番・10番ホームの雰囲気が好きである。隣の7番・8番ホームが通勤電車が慌しく発着していくの対して、このホームは「ブルートレイン」と呼ばれる夜行列車が旅立っていく。私はこの夜行列車の持つ独特の雰囲気がたまらなくいい。

だが、今やほとんどの夜行列車が廃止されてしまった。若者でも気軽に飛行機や車に乗れる時代、より安く旅したいのであれば直距離バスに乗るだろう。値段が高く、しかも時間がかかる夜行の寝台列車は、もはや時代遅れの遺物なのだろう。今や全車両が寝台の夜行列車は全国で数えるほどしか走っていない。

現在、JR東日本は「東北縦貫線」の工事を進めている。これは、東京止まりの東海道線と上野駅止まりの東北・高崎・常磐線を相互で乗り入れようとするものだ。完成は2013年度である。
http://www.jreast.co.jp/press/2007_2/20080318.pdf#search='東北縦貫線'
http://bizmakoto.jp/makoto/articles/0810/31/news067_3.html

既に「湘南新宿ライン」という直通列車が走っているが、東京駅回りでも直通列車を走らせ、相互直通運転により都心の田町車両センターを縮小して新しい駅と街を作ろうという計画である。だがこの計画により、一度人身事故や信号機/車両故障が発生すれば大混乱をもたらしかねない。多くの路線が複雑に絡み合い、ダイヤの復旧に相当な時間をもたらすだろう。これは副都心線や半蔵門線、湘南新宿ラインの混乱を見れば簡単に予想できる。輸送障害時の対策をあらかじめきちんと建てておかないと、乗客にかえって不幸な結果をもたらすことになるだろう。

そして東北縦貫線の運転が開始されれば、間違いなくこの東京駅9番・10番ホームの雰囲気も変わってしまうだろう。7・8番ホームは上野方面行き、そしてこの9番・10番ホームは横浜方面行きとなるだろう。その時、新宿駅のように殺風景な慌しい雰囲気になってしまうだろう。

時間と効率が求められる時代。東京に限らず街はどんどん変わっていく。そんな変化に、ちょっと疲れを感じる。だから時代遅れのブルーの車両を見ると安らぎを覚えるのかもしれない。

この東京駅9番・10番ホームから、かつて私の好きな夜行列車が関西の大阪へと旅立っていった。寝台急行「銀河」といった。「銀河」はまだ夜行列車が全盛期だった頃はずいぶんと地味な存在だった。だが、東京駅を東海道新幹線の最終「のぞみ」よりも遅く出発し、翌朝の一番列車よりも早く大阪に着くダイヤが幸いしたのだろう。「銀河」は今年まで存続していた。 だがそんな「銀河」にも時代の波が押し寄せる。

この寝台急行「銀河」には、こんな恋物語があった。

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