(物語) 道

暗闇の中で、勇気をくれた唄がある。

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2011年3月11日。三陸海岸にほど近い宮城県南三陸町の志津川中学校では、翌日に控えた卒業式の練習をしていた。晴れの卒業式。特に卒業生を送り出す歌の練習には力が入った。

午後2時46分。未曾有の大地震が発生、大津波が南三陸町を襲った。幸いなことに志津川中学校は高台の上にあったので生徒に犠牲者は出なかった。間もなく家を失った住民が学校に非難してきた。それは事態の深刻さを物語っていた。生徒達の多くは、帰る家を失ってしまった。

間もなく夜の帳が下りてきた。電気やガスといったすべてのライフラインは止まったまま。ある生徒が理科室からろうそくを持ってきた。それが唯一の灯りだった。何の情報も入らず、不安が学校中に広まっていく。

そんな時の事だった。3年1組の教室から、あの唄が聞こえてきた。

「思い出が時間を止めた 今日の日を忘れるなと
 見慣れた景色 二度と並べない 
 思い出の道」

その歌声は瞬く間に学校中に広がった。暗闇の中、大合唱が始まった。

3月28日。半月ほど遅れて志津川中学校の体育館で卒業式が開かれた。その式には学校に避難している住民の多くも参加した。菅原校長先生は、停電が続いてマイクが使えない中、大声で96人の卒業生の名前を読み上げていった。そしてあの夜、勇気をくれたあの唄を、みんなで唄った。

一ヶ月後の4月30日。志津川中学校で復興支援のイベントが開かれた。そのイベントにはうれしいサプライズゲストがやってきた。人気グループEXILEのHIROさん達メンバー4人である。彼らは大震災の夜に「道」を志津川中学校の生徒達が歌ったと聞き、支援物資を満載した車で南三陸町までやってきたのだ。そのイベントでは、EXILEのメンバーと卒業生、そしてイベントに参加した皆さんで「道」を一緒に唄った。

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「道」にはこんな歌詞がある。


ゆっくり歩き出そう
この道 未来へと続く
さよなら 泣かないで
忘れないよ
離れていても 愛しています

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「道」EXILE PV
http://musicmovie.blog48.fc2.com/blog-entry-1594.html

「道」 歌詞
http://music.goo.ne.jp/lyric/LYRUTND50896/index.html
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