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(デジタル) iPadは日本で普及するか?

2010年5月28日、日本で第一世代のiPadが発売された。アップルストアや家電量販店では、開店前から行列ができた。しかし、iPadの普及を疑問視する声も多い。果たしてiPadは日本で普及するのか?

(結論)
① iPadは日本でも普及する。但し、アメリカ・オーストラリアとは異なる利用方法がなされるだろう。
② クックパッド、You Tube、ニコニコ動画、新聞等がよく閲覧され、電子書籍の普及は難しい
③ これまでパソコンに馴染みがなかった高齢者に重宝されるだろう

(iPod Touchとネット)
iPadを語る前に、iPod Touchについて説明したい。私はiPod Touchのヘビーユーザーである。家はNTTの光フレッツを引いているが、iPod Touch導入に合わせ無線LANを導入した。これで家中どこにいても、インターネットが見れるようになった。毎朝「湘南の今日の波」と「BCM」の波チェックは欠かせない。
http://www.1173.co.jp/
http://www.bcm-surfpatrol.com/

この方法だとパケット代がかからない。家の外では「Wi2」の公衆無線LANを利用している。マクドナルドなどで利用でき、月380円で使いたい放題だ。
http://300.wi2.co.jp/

また、iPod Touchはパソコンと違って起動が早く、本体が軽いので持ち運びに便利だ。今回アメリカへ持っていって、幾つかのホテルで有料だがネットにつながった。サンフランシスコから千葉と鵠沼の波チェックがいつも通りにできた。

いいことづくめのiPod Touchだが、画面サイズは3.5インチで、ネットを見るにはぎりぎりの大きさだ。そこでiPadの登場となる。

(2つのiPad)
iPadには、WiFi(無線LANのこと)モデルと、Softbankの通信網を利用するWiFi+3Gモデルの2種類がある。画面サイズは9.7インチのタッチパネルである。
http://plusd.itmedia.co.jp/mobile/articles/1001/28/news024.html

(クックパッド)
午後4時に日本の女性が一番見ているサイトと言われるのが、料理レシピ検索サイト「クックパッド」である。食材を打ち込めば、簡単にレシピが検索できる。また自分が作った料理とレシピを乗せることも出来、情報交換のサイトにもなっている。
http://cookpad.com/

「クックパッド」にはiPhone/iPod Touch/IPad専用のアプリがあり、Apple App Storeから無料でダウンロードできる。クックパッドは、iPadを女性ユーザーを普及させるキラーアプリになるだろう。iPadは画面サイズが大きいので、料理をする際に見やすい。さらにパソコン程場所を取らない。キッチン近くに立てかけておけばいい。料理をする上で、とても便利だろう。

(You Tube)
男女問わず人気なのがYou Tube。私が好きなのは以下の2つだ。

バカリズム 「贈るほどでもない言葉」
http://www.youtube.com/watch?v=b3FIiE8INEw

かつら落ちる
http://www.youtube.com/watch?v=95g30uJz18U

洋楽アーテイストはYou Tubeをうまくプロモに利用しており、多くの公式サイトがある。前に紹介したJason Deruloさんが好例だ。日本のアーテイストだと、事務所がYou Tubeを敵視している場合が多く、公式にうまく利用しているとは言いがたいが、公式・非公式を問わず面白い投稿が多い。最近、一部画質の向上も図られたので、iPadのキラーアプリの一つと言えるだろう。

(高齢者向け)
docomoの携帯電話「らくらくホン」が高齢者に大人気だが、iPadもその可能性を秘めている。タッチパネルで操作がしやすく、文字の拡大・縮小が簡単だからだ。高齢者は老眼になりやすく、新聞を虫めがねを使用して閲覧されてる方が多い。最近、読売新聞や朝日新聞は文字フォントを大きくしたが、紙の媒体をユーザーが大きくすることは物理的にできない。しかし、iPadならピンチアウト/イン機能を使えば簡単にできる。

さらに医療情報や趣味の情報を交換する高齢者向けSNSサイト、遠隔地から孫や子供の写真を受け取って、デジタルフォトフレームのように使うなど、無限の可能性を秘めている。

(難しい電子書籍)
日本では電子書籍の普及は難しいだろう。理由は本の価格、出版業界の利権にある。

アメリカやオーストラリアでamazonのKindleやSONY Readerといった電子書籍が人気を集める理由の一つが、実際に本を買うより価格が安くすむからだ。一方、日本では本の価格は比較的安い。人気本は新書のハードカバーが出た後、しばらくたって安い文庫本が出るというシステムも構築されている。例えば、2002年9月12日に「海辺のカフカ」が1680円で発売されたが、その3年後の2005年2月28日に740円で単行本が出ている。

「海辺のカフカ」(ハードカバー)
http://www.amazon.co.jp/%E6%B5%B7%E8%BE%BA%E3%81%AE%E3%82%AB%E3%83%95%E3%82%AB%E3%80%88%E4%B8%8A%E3%80%89-%E6%9D%91%E4%B8%8A-%E6%98%A5%E6%A8%B9/dp/4103534133

「海辺のカフカ」(新潮文庫)
http://www.amazon.co.jp/%E6%B5%B7%E8%BE%BA%E3%81%AE%E3%82%AB%E3%83%95%E3%82%AB-%E4%B8%8A-%E6%96%B0%E6%BD%AE%E6%96%87%E5%BA%AB-%E6%9D%91%E4%B8%8A-%E6%98%A5%E6%A8%B9/dp/4101001545/ref=sr_1_11?ie=UTF8&s=books&qid=1275834078&sr=1-11

日本では「再販売価格維持制度(再販制度)」によって本と新聞の最終販売価格の固定が例外的に認められている(独占禁止法の適用外)。だから本と新聞は「定価」と表示できる。これは、安く、幅広い種類の本や新聞を日本中に行き渡せることを目的にしている。アメリカとオーストラリアには、このような制度はない。

「再販制度とは?」(財)日本出版協会 
http://www.jbpa.or.jp/resale/index.html

さらに日本には紀伊国屋、三省堂、BOOK 1st、ジュンク堂といった大型書店もいっぱいある。中古市場も成立しており、近年はBOOK OFF等の大型チェーン店が出てきている。ここでは新刊より安く買える。このような大規模の本屋は、アメリカではBarnes & Norble、オーストラリアではDymocksくらいしかない。これは再販制度がない他、国土が広く、流通経路を維持するのにコストがかかるので、大規模な書店がビジネスとして成立しにくいことも大きいだろう。

Barnes & Noble
http://www.barnesandnoble.com/

Dymocks
http://www.dymocks.com.au/

このように、本の流通に関しては日本は優れているが、電子書籍となると逆転してしまう。その例が「グーグル図書館(Google Books Library Project)」と呼ばれるプロジェクトである。このプロジェクトは、絶版を含め出版物をスキャナーで読み込んで電子データ化し、データベースを構築してユーザーに配信しようとするものだ。

Googleがこのプロジェクトを開始した時、日本の作家団体や著作権団体は一斉に反対した。すべての本が電子化されれば本が売れなくなり、既存の流通網が疲弊してしまい、著作者や流通業者、本屋の収入が減りかねない。さらに上記で述べた再販制度も破壊しかねない。再販制度がなくなれば、本の価格破壊が進みかねない。これが反対の一番の理由だ。

現行の日本国著作権法は、著作権者に強い権利を与えている。電子書籍のコンテンツを整える上で、権利者団体の理解と賛成が不可欠である。その理解を得られるだろうか。(結局Googleは、日本抜きで電子データベース化を進めている。ここでも「ジャパン・パッシング」が起きていることに留意すべきだ)
http://books.google.co.jp/googlebooks/library.html

変化の兆しもある。大手出版31社が加盟する日本電子書籍出版社協会は、その電子書店「電子文庫パブリ」で販売する電子書籍をiPhoneでも閲覧できるアプリを公開した。積極的な取り組みと言える。
http://plusd.itmedia.co.jp/mobile/articles/1006/04/news049.html
http://www.paburi.com/paburi/iphone.asp

最終的にはユーザーの趣向によるだろうが、本の手触り感慣れた日本人に、電子書籍が受け入れられるかは不透明である。私は懐疑的だ。

アメリカとオーストラリアは国土が広すぎ、流通経路を維持するのにコストがかかる。再販売制度もなく、安い文庫本が出るのが一般的ではない。だが本の電子データ化が進んでおり、コンテンツは豊富なので、電子書籍が普及する余地がある。一方、日本では至る所に本屋があり、価格も比較的安く買える。電子書籍が普及する余地は、今のところないだろう。

以上から、iPadは電子書籍ではない別の使い方をされ、日本で普及するだろう。


(おまけ)
朝日新聞の「どらく」は、電子書籍の感覚がつかめるだろう。
http://doraku.asahi.com/hito/interview/index.html?bnum=145

テーマ : iPad - ジャンル : コンピュータ

コメント

日本の場合、出版社と取次と書店のしがらみがありますからね~。その中でもトーハン等の取次が中心にいます。一時期電子書籍を日本でも導入してましたが、書店の店頭でダウンロードっていう滅茶苦茶な方式でした。
ただ、市場規模が二兆円を割り込み、各出版社が赤字に転落する中、いつまでも紙にしがみついてたら未来はないと思います。

Re: タイトルなし

> 日本の場合、出版社と取次と書店のしがらみがありますからね~。その中でもトーハン等の取次が中心にいます。一時期電子書籍を日本でも導入してましたが、書店の店頭でダウンロードっていう滅茶苦茶な方式でした。
> ただ、市場規模が二兆円を割り込み、各出版社が赤字に転落する中、いつまでも紙にしがみついてたら未来はないと思います。


おっしゃる通りですね。安く、日本中にあまねく本と新聞の流通を行き渡せると言う意味で、再販制度はこれまで機能してきたと私は評価しています。行き過ぎた競争を私は支持しません。しかし一方で、既存の一定の団体の利権の温床になってきたとも言えます。再販制度を含め、制度の見直しの時期にきていると考えます。

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