(物語) 優しいネックレス

ファッション雑誌「小悪魔ageha」のモデルさん、と聞けば怪訝な顔をする人も多いかもしれない。その人気モデルだった純恋(すみれ、本名は石川安里沙)さんがデザインしたネックレスが、大きな反響を呼んでいる。

純恋さんは東北の岩手の出身。高校卒業後に仙台にある専門学校に進学、在学時に読者モデルとして幾つかの雑誌に出るようになり、東京の事務所と契約した。看護師だったお母さんの影響を受けて、純恋さんは何か社会の役に立ちたいと考えていた。そこで純恋さんは、病気の子供達を支援する「日本児童家庭文化協会」の活動に参加する。

純恋さんの人柄を偲ばせるこんなエピソードが残っている。

ある日、純恋さんはイルカと触れ合う活動に参加した。活動が行われた日は天気が良く、日差しが強かった。日焼けはモデルの天敵。周りの人たちは純恋さんの日焼けを心配した。しかし純恋さんは、そんなの全然気にしないです、と笑って答えたという。

さらに純恋さんは、子供達のために好きだったネックレスをデザインすることを考え始める。困っている人たちを助けるブランドにしたい、と願っていたという。

しかし、純恋さんは2009年の春頃に体に異変を感じていた。吐き気や目まいがひどくなった。病院で検査を受けたが、詳しい原因は分からない。純恋さんはモデルの仕事を休むようになったが、それでも子供達のために色々な企画を提案したり、ネックレスのデザイン作業を続けた。

2009年6月6日、ネックレスの実物が完成した。だが、純恋さんがその実物を見ることはなかった。ネックレスの完成からわずか4日後の2009年6月10日、21歳の若さで、純恋さんはその短すぎる生涯を終えた。

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お母さんの良子さんは、娘にネックレスを身につけさせてあげることはできなかったが、その思いが多くの人に届くことを願っています、と語っている。ネックレスの販売は、純恋さんの遺志を受け継ぎ、所属していた事務所が担当する。その収益は日本児童家庭文化協会へと寄付されることになっている。

この話が2009年7月25日の読売新聞に掲載されると、多くの読者から大きな反響を呼んだ。同世代や同姓の女性だけではなく、娘や妻に純恋さんのネックレスをプレゼントしたいというお父さん、病気を患いながらも慈善活動に取り組んでいた純恋さんに勇気をもらったというおじいちゃんもいた。反響の大きさにサーバーがダウンしてしまう程だったという。

純恋さんが描いたネックレスは、2つのハートが繋がっている形をしている。そのデザインには、純恋さんの優しさと、人と人との心の繋がりを願う純恋さんの想いが込められている。


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(参考文献および引用)
読売新聞2009年7月25日、7月29日
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20090729-OYT1T00617.htm

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