(検証) 船中八策4 ~~BSL4施設の稼動

BBC WorldやCNNjを見ていると1ヶ月以上前からこのエボラ出血熱のことが連日話題になっていた。エボラは深刻な問題だ。

BBC Word Special report
http://www.bbc.com/news/special_reports/

CNN International
http://edition.cnn.com/

日本において深刻な問題は、エボラ出血熱等のウイルスを取り扱う「BSL-4施設」と呼ばれる検査・研究施設が稼動していないことだ。

エボラウイルスは、WHOの基準ではリスクグループ4という最強の危険グループに入り、バイオセイフティレベル(BSL)の最高位のBSL-4に位置づけられる。エボラウイルスは、BSL-4施設でなければ検査・実験ができない。アメリカには複数存在するが、911事件以降は外国人の立ち入りは禁止されている。

エボラ患者は入院できても退院できない
レベル4ラボを正式稼働せよ!
http://wedge.ismedia.jp/articles/-/4368?page=1

上記の記事にある東京都武蔵村山市にある国立感染症村山庁舎の他に長崎大学がBSL-4施設を稼動させようとしている。

BSL-4施設設置に向けた取り組みの現状と今後の展望
http://www.nagasaki-u.ac.jp/ja/about/message/katamine/message112.html

近隣住民の皆さんのご不安はもっともだ。透明性を高め、丁寧に説明を重ね、厳重な安全管理を徹底しないといけない。片峰長崎大学長は「BSL-4施設の安全性に対する不安が完全には払拭されていないことを再認識させられる一方で、反対署名の主旨を記載した文書の内容は、必ずしも正確な科学的根拠や情報・事実あるいは見解に基づいておらず、科学の発展を通じて社会に貢献すべき大学の責任者として、強い違和感を覚えます」とおっしゃっている。(引用は同上)

川崎市も臨海部に近い殿町地区をライフイノベーション地区としている。ここにBSL-4施設を作ることを検討すべきだ。羽田空港に近いんだし。

また今の日本のザルのような入国管理方法は改め、もっと厳格にしないといけないと危険だ。少し前、イギリス経由でリベリアから日本にきた人がエボラ出血熱に感染している可能性があって騒然としたことは記憶に新しい。院性だったからいいものの、陽性だったらどうなっていたことか。

マスコミにも注文がある。朝日叩きはもっともな点も多いが、その背景には朝日の購読者を取りたいという思惑と、記者の収入格差という問題が透けて見える。さらに小保方問題は、iPSで先行する京都大学を負けたくないとする理研の野望が透けて見える。

朝日叩きにやっきな産経新聞もその朝日新聞もBSL-4に関する見解はまったく同じだ。地味かもしれないが我々の生活に直結するのは公衆衛生のほうだ。分かりやすく科学的で冷静な記事を持続的に書いて、国民の理解を得るような姿勢が重要だ。


(社説)感染症研究施設 理解得て運用実現めざせ(産経 2014,4,21)
http://www.sankei.com/life/news/140421/lif1404210020-n1.html

(社説)エボラ出血熱 国内外で態勢強化を
http://www.asahi.com/articles/DA3S11409601.html

かつて福島出身の野口英世は、勇気を持って数多くの感染症と闘い、アフリカで黄熱病と闘って天折した。その魂を受け継ぐ子孫達の活躍に期待したい。

国立感染症研究所
http://www.nih.go.jp/niid/ja/aboutniid.html

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(検証) がんばれ土屋アンナ!~土屋アンナ舞台問題と著作権~

土屋アンナさんの初舞台が問題になっている。主催者側は土屋さんに法的措置も辞さないという。土屋さんは本当に悪いのだろうか?

この問題の最も重要なポイントは2つに分けられる。一つは「原案」と「台本」の類似性を問う著作権の問題、もう一つは土屋さん又はその所属事務所が舞台の主催者側と交わした出演契約に基づく債務不履行だの問題だ。

著作権の話から検討してみたい。今回の舞台「誓い~奇跡のシンガー~」の「台本」には、濱田朝美さんの「日本一ヘタな歌手」(光文社)が「原案」である旨が明記されている。重要なのは「原案」と「台本」がいかに類似しているかだ。

色々なサイトを調査したが、「原案」と「台本」のストーリーはほ似ていて、ラストシーンだけが衝撃的な内容に変更されているようだ。これは脚本家の甲斐氏の意向によるものだそうだ。
http://trendnews-b.com/2627.html

原著作物とそれに基づく著作物の関係は、後者がいかに独創性(オリジナリテイ)があるかで権利関係が異なってくる。今回の場合、「台本」のストーリーが「原案」と異なる部分が多ければ別個の著作物として認められる可能性があるが、ストーリーは途中までほぼ似ていて、ラストシーンだけが異なるというのであれば、「台本」は「原案」の二次的著作物とみなされると考えてよいだろう。

他者が原著作者の許諾なく勝手に二次的著作物を作成することはできない。「同一性保持権」「翻案権」「上演権」「二次的著作物に関する原著作者の権利」の侵害であるとして、原著作者である濱田さんが甲斐氏を著作権侵害で訴訟を提起して争える余地は十分にある。

芸能界の場合、通常は原著作者に断りを入れるか、ある程度の金を渡して一筆サインしてもらうことが多い。今回の場合、一応弁護士を通じて甲斐氏と濱田さんは話し合ったようだが、このときに「台本」は完成していなかたようだ。もし衝撃的なラストシーンに書き換えられた「台本」の最終版を見ていなかった濱田さんが「著作者人格権を行使しないこと」「著作財産権を譲渡すること」を契約書でサインしたとしても、台本の最終版を見ていない旨を裁判で立証できれば、その契約は無効とみなされ、著作権侵害が認められる可能性は十分あるだろう。(ちなみに、悪知恵を働かせる奴らは世の中にたくさんいる。安易に契約書・誓約書に押印・サインすることは控えるべきだ)

② 債務不履行責任

債務不履行責任とは、平たく言えば①引き受けた仕事を納期を遅れずにきちんとやります(履行遅滞)、②引き受けた仕事に問題はありません(不完全履行)、③引き受けた仕事が遂行できなくなりましたなんてことはありません(履行不能)という3つの責任のことを言う。日本国民法第415条等に規定されている。甲斐氏のいう「法的措置」「損害賠償」の根拠はこの債務不履行責任を意味する。

今回の場合、土屋さん・所属事務所側が債務者、主催者側が債権者になる。本来は債務者の方が債権者に対して重い責任を負うのが普通だが、そもそも「法律違反している台本」というのは法律上の無効事由に相当するので、土屋さん・所属事務所側が「台本」の著作権法違反を証明できれば、債務不履行責任を負う必要はなくなるか、大幅に軽減されると考えてよいだろう。

(総括)
・今回の騒動の雌雄を決するのは著作権だろう。

・土屋さん側が勝つためには濱田さんと組んで、著作権に詳しい弁護士を雇って、甲斐氏が「台本」の最終版を見せて十分な説明をせずに濱田さんの了解を取得したことを証明し、その際の契約(あればだが)は無効であることを証明することだ。こうすれば、甲斐氏の「同一性保持権」「翻案権」「上演権」「二次的著作物に関する原著作者の権利」の侵害を争える。土屋さんの債務不履行責任も免れるだろう(完全ではないかもしれないが)。

・今回の騒動で分かったのは土屋さんの人柄だ。土屋さんは著作権や債務不履行責任に関してどれだけお詳しいかは分からないが、彼女の濱田さんへの思いやりがすべてを物語っている。

・主催者側、特に甲斐氏の手法は強引だ。彼は自分の力を過信しているばかりか、障がい者を見下している言動を繰り返しているようで、公共の福祉・社会通念からも土屋さんの主張が認められるべきだ。

・もっともよい解決策は、再度甲斐氏・濱田さん・土屋さん・監督等の関係者が話し合い、皆が納得するストーリに変更することだ。これだけ話題になったのだから、この舞台は興行的に成功するだろう。同義的にも法的にもファンにも納得がいくだろう。


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舞台中止騒動の発端は台本…土屋アンナ、主人公の死に不信感
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20130801-00000052-spnannex-ent

(検証) 新型iPhone騒動は本物か?

毎年夏に発売されるiPhone。その試作機と思われる筐体がアメリカ中で話題になっている。新型iPhone(?)をネット上の記事に載せたのは「GIZMODE」。先輩から教えてもらったのだが、日本語版でもばっちり写真入りで紹介されている。

飲み屋に落ちてた次世代iPhoneを徹底解剖(その1)
http://www.gizmodo.jp/2010/04/iphone_261.html

飲み屋に落ちてた次世代iPhone徹底解剖(その2)
http://www.gizmodo.jp/2010/04/iphone_262.html

Suprosing Introduction New iPhone ABC Bews(US)
http://abcnews.go.com/technology/video/mixing-advertising-virtual-reality-10414618&tab=9482931§ion=1206840&playlist=2521702

ギズモードのジェイソン・チャン記者が新機能を紹介している、全体に角ばった印象だ。どことなく日本のdocomoのN904iを彷彿させる。画面上にチャット用のカメラが新しく搭載され、さらに背面には夜間撮影用のフラッシュがついている。またボリュームコントロール用ボタンは2つに分割されたようだ。詳しくは記事をご覧頂きたい。

入手経路が気になるが、なんとカリフォルニアのレッドウッドシティーという街にあるバーに落ちていたという。それを数人の手を介して、最終的にギズモードのチャン記者に渡ったのだそうだ。

流出「iPhone」問題、警察が捜査開始か CNET Japan
http://japan.cnet.com/news/tech/story/0,2000056025,20412662,00.htm

Lost iPhone prototype spurs police probe CNET
http://news.cnet.com/8301-13579_3-20003308-37.html

報道を見る限り本物の試作機のように思えるが、Appleの出方次第で真贋がはっきりするだろう。

本当にバーに落ちていたのだろうか?どうも疑わしい。もしAppleが裁判沙汰を起こすなら、Appleの開発関係者が盗んだことになり、本物だろう。秘密主義のAppleは莫大な制裁金を請求し、裁判所に訴えるだろう。報道したギズモードやマスコミも訴えるかもしれない。偽者なら、Appleは訴訟を起こすようなポーズだけを取り、マスコミをうまく宣伝に利用するだけだろう。

この後の展開が興味深いが、個人的には8月頃に発売されるであろう次世代iPod Touchの方が気になる。64GBの購入を検討している今日この頃である。

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(検証) 西友のCMソング

最近、関東地区においてスーパーマーケット西友の不思議なCMがお茶の間に流れている。「新生活のうた編」というものだ。このCMでは、子供の声で次にように歌っている。

「西友 ニトリ アエーズ IKEA」 
「西友 ニトリ アエーズ IKEA」
「西友 ニトリ アエーズ IKEA」

西友HP
http://www.seiyu.co.jp/

疑問をまとめると、以下の2点である。

① 「アエーズ」という店が存在するのか? 
② 西友とニトリとアエーズとIKEAの4店舗が共同キャンペーンを行っているのか?

調べてみた。

①「アエーズ」について

ニトリとIKEAは、ともにインテリアに特化したホームセンターである。特にニトリはこの不況下においても業績を伸ばす優良企業だ。一方、IKEAは北欧スウェーデン発祥のお店である。英語圏では「アイケア」と発音する人も多い。

私はこれら二店舗は知っているが、「アエーズ」というお店は知らない。Google等で調べてみたが、福島県の会津地方のお店ばかりがヒットして、ニトリ級のお店で「アエーズ」というお店は発見できなかった。友人に聞いてみても誰一人として知っている人はいなかった。

② 西友とニトリとアエーズとIKEAの4店舗が共同キャンペーンを行っているのか?

西友、ニトリとIKEAのプレスリリースを確認したが、そのようなキャンペーンを行っている事実はなかった。

西友
http://www.seiyu.co.jp/CGI/news/topics.cgi?key=list&corner=2
ニトリ
http://www.nitori.co.jp/news/index.html
IKEA
http://www.ikea.com/ms/ja_JP/recall/index.html

当の西友のプレスリリースにも何も記載されていない。これは一体どういうことだろうか?
さらに我々探検隊は調査を続行した。すると、あるサイトから驚愕の事実を知らされたのである。

「♪ 西友にとりあえ~ず行けや」

http://blog.goo.ne.jp/nolla-yksi-kaksi/e/33853edc9e345af44272e463d70f2b46

聞こえねーよ・・・

船中八策 (3) ~翼~ JAL再建の行方 

(1)法的整理と年金問題

一般的に「倒産」とは、返さなければいけないお金やその類を返せなくなる状態のことを言う。法的には、破産、特別清算、民事再生、会社更生の4点の手続開始に分けられる。

このうち、破産と特別清算は会社そのものを消滅させることだ。長らく日本では「倒産=会社の消滅」というイメージが強かった。これは後述する会社更生と民事再生がなかったからだ。会社更生と民事再生はともに再建型倒産手続と呼ばれ、債務等を法的に整理した上で、その企業の再出発を図ろうとするものだ。

会社更生と民事再生の大きな違いは、会社の経営と債権者の権利行使にある。会社更生を適用申請すると、裁判所から管財人が選任され、以前の経営者は経営に参画できない(詳しく言うと、適用対象が「特別手続」、手続形態は「管理型」)。一方、民事再生では以前の経営者がそのまま経営を続けることが可能だ(適用対象が「一般手続」、手続き形態は「DIP型」)。一番の大きな違いは会社更生の場合、債権者がその担保(お金を受け取る権利)を競売にかけるといった権利行使ができないが、民事再生の場合は可能なことだ。

JALは既に「倒産」状態にある。報道によると、JALの債務(借金とその類のこと)は現時点で8,000億円を超えるとされている。JALの債権者は、日本政策投資銀行、みずほコーポレート銀行、三菱東京UFJ銀行、三井住友銀行といったメインバンクに、大企業等の大口株主、個人株主、さらに問題の年金を受け取る権利を持つOBや現役のJAL社員などがいる。当初、JALは自力で私的整理の「事業ADR」でカタをつけようとしていたが、それでカタが付くほどJALの債務は小さくない。
(出所)日本経済新聞 2010年1月9日 Q&A 日航株、更生法でどうなる?
http://www.nikkei.co.jp/sp1/nt254/20100108AS2D0802808012010.html

政府が会社更生の適用に傾いたのは、現経営陣の責任を問い、管財人が全資産の管理を行うことができるからだ。しかしまだ問題は残る。最も難題とされる年金問題である。会社更生を適用申請しても、年金は更生債権として弁済される可能性が高いからだ。09年3月時点で8,010億円、積み立てて金は4,315億円、差し引き3,315億円が不足している。
(出所)「週間ダイヤモンド」2009年11月7日号 

JALは退職者の年金に対して年率4.5%と言われる高利の利率を約束している。報道ではよくこの「4.5%」という数字がやたら強調されるが、利率を1.5%へ削減しても年金債務の3,315億円が完全に無くなるわけではない。年金の元金部分は憲法が保障する私的財産権なので、JALを会社清算しない限り公的資金(要は税金)の注入か主力銀行の債権放棄に頼らざるを得ないだろう。

これに加え、8つもある労働組合の問題がある。労働組合は労働者の権利を守るための重要な組織だ。しかし、会社の経営があまりも傾いている場合、労使が協力しない限り問題解決はあり得ないだろう。

2010年1月9日のJALの株価の終値は67円である。明日の1月12日に大幅に下落してしまう可能性がある。1月19日に会社更生法の適用を申請すると報道されており、それまでに株価がさらに下がる恐れがある。上場廃止も噂されている。会社更生法適用後には100パーセントか99%程度の減資が行われる予定だ。株券が紙くずかそれに近い形になってしまうかもしれない。

(2)マイレージ
JALのマイレージは保護されるようだ。マイルを持っている人も債権者になるので、理論的には債権者集会に参加できることになる。しかし、これを認めてしまうと何百万人という人が集会に参加し、議論が紛糾してしまう可能性がある。よって、マイルは保護するが債権者集会には参加できない、ということになるだろう。但し、会社更生の適用申請後、現在のJALマイレージプログラムは大幅に改訂されるだろう。具体的には、航空券に換えるのに必要なマイルが現行よりも多くなる、ということが考えられる。更に現在マイレージ会員向けに多くのキャンペーンが行われているが、これらは会社更生の申請以降はどうなるかまったく未定だ。続けられるかもしれないが、すべて中止されるかもしれない。気になる方は、19日と報道されている会社更生の申請以前に何らかの行動をしておいた方がいいだろう。

本来のあるべきマイルサービスの姿は、乗ってくれた客にポイントを付与し、何回か乗ってくれたらグレードアップまたは無料で1回乗れる権利を与える、というものだろう。その好例として、JR東海道・山陽新幹線の「エクスプレスグリーンプログラム」が挙げられる。このサービスは、エクスプレスカード会員向けに乗車毎にポイントを付与し、規定のポイントを獲得すると普通車の料金でグリーン車が予約できる(要はアップグレード)というものだ。無料で一回乗れるという航空会社では当たり前のサービスをJRは実施していない。これは、無料乗車券の経営へ与える影響を考えてのことだろう。また、「エクスプレスグリーンプログラム」はポイントサイトとの連携も少ない。
http://expy.jp/service/green/index.html

無数のポイントサイトと連携し、飛行機に乗らない人にもマイルが付与される現状のサービスは、よく吟味した上で本来の方向へ戻していくべきだろう。その代わり高すぎる航空券代を引き下げなければならない。また、現在は3年間となっているマイルの期限は短すぎる。これは、ユナイテッドのマイレージサービスが参考になるだろう。
http://www.saisoncard.co.jp/lineup/ca041.html

(3)イールドマネージメント 

JALの業績がANAに比べて悪いことは、財務諸表を見れば一目である。
http://business.nikkeibp.co.jp/article/manage/20091207/211270/
http://business.nikkeibp.co.jp/article/manage/20091207/211270/

利益を改善する有効な方策が、「イールドマネージメント」と呼ばれるものだ。イールドマネージメントとは、ホテルや航空会社のように、商品・サービスを在庫として繰り越すことができない産業において用いられるマーケティング戦略のことである。
http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/Keyword/20070202/260501/
http://www.geocities.co.jp/HeartLand/3999/rm/rm1.html

航空産業の場合「一席あたりいくら稼ぐ」のかを示す以下の指標が用いられる。

客単位収入(旅客収入÷座席キロ)×座席利用率(旅客キロメートル÷座席キロメートル)=座席単位収入(旅客収入÷座席キロメートル)

2008年度の座席単位収入は、JALが8.8円、ANAが10.8円となっている。
(出所)「週間ダイヤモンド」2009年11月7日号 pp48-49

この数字を改善するためには、需要予測と需要に最適化した供給量の決定が不可欠だ。具体的に言うと、過去のデータに基づいてどの路線にどのくらいの利用客があるかを予測し、需要が多ければ大型機を投入する、または中型機の臨時便を飛ばし、需要が少なければ減便するか機材を小型化して、座席の供給量を予測される需要に限りなく近づけるようにする。ANAはこれが進んでいる。これまでは搭乗率が着目されることが多かったが、これからはイールドマネージメントを駆使した「座席単位収入」が重要な指標になるだろう。

(4)機材の最適化

JALはANAに比べて古い機材が多く、今でもボーイング747(旧型)、エアバス300-600やダグラスMD-81/87/90といった旧型機を多く抱えている。ANAはすべてリプレイスされている。JALはお金がないから機材更新ができなかったのだが、これが過剰な座席の供給や燃費の悪さの原因になっている。イールドマネージメントは機材の最適利用が要である。機材の更新も、JAL再生の大きなポイントになるだろう。

(5)ワンワールドとスカイチーム

私はかねてから日系航空会社の国際線が2社も必要なのか疑問に思ってきた。ANAに統合してもらった方が良い気がするが、ANAの国際線部門も長年成績が芳しくないことを考えると、海外航空会社と組んだほうが得策に思える。

世界には、スターアライアンス、ワンワールドとスカイチームの3つの航空連合が存在する。

(スターアライアンス)
・ユナイテッド
・シンガポール
・ANA
・コンチネンタル
・ルフトハンザ
・タイ国際
・中国国際など計25社
http://www.staralliance.com/en/

(ワンワールド)
・英国航空
・アメリカン
・JAL
・カンタス
・キャセイ・パシフィックなど計11社
http://ja.oneworld.com/enja/

(スカイチーム)
・デルタ
・ノースウエスト
・エールフランス-KLM
・大韓航空
・中国南方など計9社
http://jp.skyteam.com/

現在JALはアメリカンを中心とするワンワールドに属している。JALに対し、米デルタ航空は、来年発効する日米の「オープンスカイ協定」を見据え、新規提携とスカイチームへの移行を強くアピールしている。アメリカン航空も負けじと引止めに掛かってきたが、国土交通省とJAL内部でもデルタとの提携に傾いている。今後、オープンスカイ協定は米国だけではなく、アジア・欧州を含め様々な国・地域と結ばれていくだろう。
http://www.sankeibiz.jp/business/news/091212/bsg0912121301001-n1.htm
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/world/america/331783/
http://www.nikkeibp.co.jp/article/column/20100107/204005/?nn


私はデルタ・スカイチームに乗り換えるべきだと考える。理由はデルタが過去に日本の民事再生法に相当するチャプター11を適用申請したことがあり、航空会社の再生に関するノウハウがあること、日本ー米国間の太平洋路線に圧倒的なシェアを持っていること、アジアに「以遠権(beyond right)」を多く持っていること、既に提携関係にあるエールフランス-KLM・大韓航空がスカイチームにいることが挙げられる。
http://www.jal.co.jp/jalcargo/shipping/mame/362.html

日本-アジアの以遠権を多く持っているのがユナイテッドとデルタ(ノースウエスト)の2社だ。ANAはユナイテッドとコンチネンタルと組んで、日米アジア路線でその地盤をさらに固めようとしている。アメリカンは、太平洋路線のシェアが6%しかなく、以遠権もないに等しい。また倒産したことがなく(本来は立派なのだが)、企業再生のノウハウに乏しい。さらにワンワールドのメンバーはどこも成績が振るわず、JALに構っている余裕はないだろう。よって、現在以上の提携効果は期待できない。デルタ・ノースウエストの以遠権を生かして運賃やコストの共通化を図った方が、JALには大きなメリットがあるだろう。

JALは、日米のオープンスカイ導入後の国際線戦略、航空燃料の共同購入による単価の引き下げ等、アライアンスの旨みを最大限享受する戦略を取らなければならない。長らく国際線の開設が認められなかったANAは、1999年にスターアライアンスに加盟し、その旨みを最大限享受してきた。イールドマネージメントにしても早くからその重要性に着目して自社に導入できたのは、スターアライアンスの中核メンバーの位置を占めてきたことが大きい。それらを国際線だけではなく国内線戦略にうまく生かしている。一方、JALがワンワールドに加盟したのは2006年である。自前主義にこだわりすぎ、燃料の購入にしても高い為替レートで長期契約してしまうなど、アライアンスの旨みを生かしきれていない。もはや一社で全てを賄う時代は終わったのだ。それなのにJALはおかしなプライドとエリート意識を持ち続け、時代に取り残されてしまった様に見える。

経営危機は、見方を変えれば自らを変えることができる最大で最後のチャンスである。こんな状況下でも誠実に働く従業員がいっぱいいる。彼ら/彼女らが安心して働ける環境を創出し、安全で快適な空の旅を顧客に提供することが最も大事なことだ。


日本航空
http://www.jal.co.jp/